プロフィール

オペラ

Author:オペラ

※所有バイク
Look595
Operaベルニーニ
ルイガノXC-Race

愛車Look595

最新記事

最新コメント

カテゴリ

おすすめ(ロードバイク)











おすすめ(本)













ブログ村このブログの記事

RSS

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
トラックバック
トラックバック送信先 :
コメント
▼このエントリーにコメントを残す

   

死と向き合う。河原町を染める夕焼け。

皆さん、どもども。
うつを背負って人生ヒルクライム中のオペラです。

数日前の事である。
阪急河原町駅を降りると、そこは真紅の世界だった。
真っすぐ西へと延びる四条通りの空が、今まで見たことも無いような真っ赤な夕焼けに染まっていたのだ。
「なんて美しいんだろう」
本当に紅かった。
河原町中の建物が紅く染められていた。
こう書いてしまうと夢もへったくれも無くなるのだが、まるで一昔前のコタツの中に頭を突っ込んでいるような感じだった。

あまりの神々しさに、私はその場から暫く動けなかった。
辺りを見渡すと、多くの外国人観光客がその光景をカメラに収めるために四条通りにはみ出していた。
ふと我に返った私は、それまで美しかったはずのこの紅い世界に急に不安を覚えた。
「もしかしてここ、地獄じゃないだろうな?」
なんだか灼熱地獄の中に突き落とされたような気がしたのだ。

「ヤバい、なんか魅入られそうだ」
私は紅い街を背中に、目的の店へと歩を進めた。
この日は以前も本ブログに登場したC先輩(前の部署で一緒だった)との会食の約束があって、私は河原町のとある定食屋に向かっていた。
目的は主に母の脳梗塞について、何かと博識なCさんに相談することだった。

定食屋で無事Cさんと落ち合い、晩御飯を食べた。
でも結局その店では話を切り出せなかった。
他の客との距離が余りにも近いため、このような相談をするのには適していなかったからだ。

早々に店を出て歩くことになった。
辺りは既に宵闇の中だった。

私は一通りこれまでの経緯(母の脳梗塞)をCさんに話し、その後Cさんのご両親について聞いてみた。
確かCさんは既にご両親を亡くされていたはずだ。
一人っ子で独身、さらに親戚づきあいもほぼ途絶えているCさんならば、当然その最期を看取るまでの間にひとかたならぬ不安や葛藤を経験しているであろう。
もしかすると介護などの経験もあるのかもしれない。
有益なアドバイスが貰えるのではないだろうか?
この時の私は漠然とそんな風にCさんの事を考えていた。

しかしCさんの答えは意外なものだった。
「う〜ん、僕あんましその辺のこと気にしたことないねん」

Cさんは彼が20歳の頃、癌で母親を亡くしている。
そして今から約10年ほど前、同じく癌で父親を亡くしたそうだ。

母親の面倒を看たのは父親だった。
そして今度は父親が癌にかかった時、その面倒を看たのはCさんの従妹だった。
たまたま10代で暇だったらしく、住み込みで看病してもらったらしい。
母親の時も父親の時もほとんど主体的に動いたことの無いCさんなのだが、どうやら父親の葬儀の喪主だけは引き受けざるを得なかった。
一人っ子なのでこればかりは仕方がない、という感じでCさんは当時の事を私に語って聞かせてくれた。
まるで他人事のように親の死を語るCさんが私にはとても理解できなかった。
Cさんは時を経て苦しみや悲しみを乗り越えたのではなく、当時から自分でも驚くくらいに親の病や死に対して冷めていたのだという。

その後、Cさんは突然こんな死生観を話し始めた。
Cさん曰く、
「癌はいいよぉ。
 とりあえず外科手術したら後は頭も体も元気やしね。
 余命も大体分かるし、痛いのだけモルヒネかなんかで抑えてもらったら自力で生活できるしね。
 僕は両親が癌やから多分自分も癌で死ぬんやと思うんよね。
 それが理想の死に方やね。
 癌以外では死にたくないよね」
との事だった。

私は今までこんな考え方を聞いたことも無かったし、もちろん考えたことも無かった。
癌、最高。
もともと変わっている人だとは思っていたが、まさかここまでとは。
しかしよくよく考えてみると一理あるな、とも思った。

「Cさん、もし癌以外の病気で死ぬことになったらどうします?」
私がそう訊ねると、Cさんは少し頭をひねってこう答えた。
「その時はお金の力で何とかするしかないね。
 出来たら交通事故とかで一気に逝ってしまいたいけど、こればっかりはどうすることも出来んよね」

Cさんは達観していた。
この境地にまで達することが出来ればもう怖いものなど無いのではないか。

Cさんはそれからおもむろに私の現況の悩みへと話頭を転じた。
「オペラ君の場合、僕の経験では何とも役にはたたへんけど、でも選択肢としては多くて2つじゃないの?
 そんなに悩む必要無いような気がするけど。
 そもそも脳梗塞って死に直結するような病気なん?」

この言葉を聞いてハッとした。
確かにその通りだった。
私は現実を見ているようで実はまだ正しく見れていなかったのだ。

でも例えば今日ジョギングしようか?どうしようか?と迷っている時の選択肢が2つだったとしよう。
”する”か”しない”かのどちらかだ。
そして正解は決まっている。
”する”の方だ。
そしてここで葛藤するのが人間なのだ。
面倒くさい、
今日は休息日にするか、
明日多めに走る、
あと30分したら走る、
とまあ実に様々な言い訳を思いつく。
人間はたとえ選択の余地が無いと頭の中では理解していても、迷妄する生き物なのだ。



言い訳はこれくらいにして、
私はふと思った。
私もCさんまでとはいかなくとも、少しは物事を達観して観られるようになりたい。

「Cさん、最近どんな本読んでいるんですか?
 何かお奨めの本とかあります?」
こんな私の問いにCさんは再び頭を少しだけひねってこう答えた。
「あるよ。
 『町田君の世界』
 僕最近人の為に何かやりたくて、ああいう世界観が良いなって思う」

その後私たちは様々な事について語り合った。
気が付くと終電の時間が近づいていた。
私はCさんと別れ、急いで阪急河原町駅まで戻った。
そこにはもうあの真紅の世界は無かった。
ただ漆黒の闇。
私は見事に終電を逃した。

自宅に徒歩で帰宅し、私はさっそく『町田君の世界』をググってみた。
マーガレットコミックス。
漫画、それも少女漫画だった。
「マジかよッ!!」

Cさんはただ漆黒の闇だけを抱えて生きているのだと思っていたが、意外と紅く燃えていたのだ。
まるで河原町の夕焼けのように。

私は夕方のあの神々しくも地獄のような真紅の世界を頭に思い浮かべた。

最後まで読んで頂き、感謝、感激です。
よろしければポチッとお願いします。 



ブログランキング・にほんブログ村へ



拍手、コメント、それだけが励みです。
   ↓↓
関連記事
スポンサーサイト
トラックバック
トラックバック送信先 :
コメント
▼このエントリーにコメントを残す

   
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。