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帰省、謎のオジサン。

皆さん、どもども。
うつボッチオペラです。


「観光客?それとも地元?」

堤防でまどろんでいる私の横を通り過ぎ、振り向きざまにオジサンは私にそう問いかけました。

「あっ、京都からですけどここ僕の地元なんです」

不意を突かれた攻撃にちょっとびっくりしてしまいましたが、遠くから割と大きな声で独り言を呟きながら歩いてくるオジサンの雰囲気から何となく声をかけられるのではないだろうかという予感もあったので、まあ想定内と言えばそうでした。

何しろ周囲は全て釣りに勤しむ方々ばかり。
つまり、暇そうに見える話し相手のターゲットとしては私以外には考えられなかったからです。

そしてそこからです。
オジサンの怒涛のように浴びせかけてくる壮大なストーリーが始まったのは。

紙面?の関係で内容を細かく再現は出来ませんが、私は約3時間オジサンの話し相手として拘束されてしまいました。

まずは質問攻めからです。

京都のどこに住んでいるのか?
会社は?業務内容は?役職は?
趣味は?
彼女は?結婚は?
車は何を乗ってる?
家族構成は?
小学校は?中学校は?高校は?大学は?
両親の離婚について?
親戚づきあいは?
地元のここ知ってる?あそこ行った?
危険ドラッグ(マリファナ)とかやったことある?
……。


この時点でこのオジサンは世界で私の次に私の人生について知る男となりました。
(恐らく母や兄弟よりも)

これ以外にも恐ろしくプライベートなことについても聞かれました。
例えば、大学の時の彼女とのエッチの時に避妊具は使っていたのかどうか?など。

そしてオジサンは私の事を何故か20代の若者と思っていたらしく、生年月日を伝えると狂ったように驚いていました。

「いや自分40代になんか絶対みえんわぁ。
 白髪もないし顔も全然若いやん。
 まあ、わし目ぇ悪いし、よぉ見えてないんやけどな」


こんな感じで一問一答+それについてのオジサンの100の感想という尋問スタイルがひたすら続いて行ったのです。

「もう僕には何もありません」
私が心の中でそう思い始めた頃でした。

オジサンはそれまでの尋問スタイルから突如一人語りスタイルへと話の手法を変化させたのです。

この話もとてつもなく長かったので、要点だけをまとめると。

・オジサンは60歳である。
・現在独り身(離婚歴有)で子供なし。
・無職である。
・42歳から親の年金で暮らしている。
・その親(父)が一年前に亡くなって収入が途絶えている。
・BookOff回りをするのが趣味であり日課である。
・車で日本全国ドライブするのが趣味である。
 (海外は怖いので行かないらしい)
・東京にあこがれている。
 (よく車で東京に行って意味もなく車中泊をしているらしい)
・京都の大学に在籍していたので微妙に京都の地理がわかる。
・しかし京都の東西南北を全て逆に記憶している。
・会社を3つほど渡り歩き、社会生活に挫折したのが42歳。
・42歳から親の介護を始め、父と様々な場所に車で訪れた。
・本を読めないという症状を持っている(集中できない)。
・しかし毎日図書館に通っている(館内を巡るのが楽しいらしい)。
・あらゆるジャンルの音楽をBookOffで100円で購入して聴いている。
・詐欺に合いそうになったことから、スマホ含めネット環境を一切有していない。
・アル中で入院したことがある。
 (現在は酒もたばこも一切やらないらしい)
・人生で一番驚いたのが、自分が結婚できたことである(お見合い)。
・妻以外とは女性経験が無い。
・人の顔を覚えられないので、出会いは全て初対面となる。
 (私にもどっかで会ったことある?と聞いてきました)
・弟とも親戚とも最近疎遠である。

他にもたくさんありますが、この時点で私は間違いなくこのオジサンを最も詳しく知る人間の一人になった事は間違いありません。


オジサンはとにかく自分を卑下します。
それもとても明るく。
まるで自虐ネタを芸にして楽しんでいるコメディアンのようです。
そして比較対象としてとにかく私を持ち上げます。
(ちなみに私のうつや休職については言っていません)
気分よく話を聞いてもらえるようにする作戦でしょうか。

「自分おしゃれにこだわるタイプやろ」
(私の靴と靴下を見て言っていたので、恐らくそれがカラフルだったからでしょう。
 ただのジョギングシューズと100均で買った赤いラインの入った靴下ですけど。
 ちなみにここ10年ほど服なんか買ったことありません)

「自分彼女連れて歩くタイプやわ。うん、そういう顔しとる」
(連れて歩くタイプというのが理解できなかったので笑ってごまかしました)

「自分人生の成功者やわ。社会的にも経済的にも」
(むしろ現在負け犬人生まっしぐらですが)


こんな感じでオジサンは、私を私の実像から勝手にどんどん遠ざけてオジサンの中の私像を作り上げていったのです。

ほとんどがお笑い傾向に振られるオジサンの会話ですが、たまにその言葉にハッとさせられる事もありました。

「人生って、どこを妥協点として納得するかが重要ですよね」

「何言うてんの。
 わしら妥協するようなぜいたくな事いうてられへんわ。
 わっはっは」


或いは、

「42歳からずっと介護で後悔してませんか?」

「いや全然。
 むしろ幸せだったと思ってるよ。
 父親とは友達みたいな関係になれたし、最後を看取れるなんてホンマに有り難かったわ」


深いな、オジサン。
ちょっと目からうろこが落ちました。
その時、私はそのオジサンがとても崇高な存在に見えたのです。
まさかこの人、私の担当精神科医が遣わしたセラピストじゃないだろうな?
いやいや、もしかしたらここの海の神様が私を見るに見かねてオジサンの姿で……。
でももしそうなら流石に神様が避妊具の話とかマリファナの話とかしないだろ。
それにアル中経験有りで親の年金で生活してきたっていうのも不必要な設定だし。

まあいいか、オジサンはオジサンで目の前に確かに存在している訳だし、この際正体はなんでもいい。

話し始めて約3時間後、辺りは薄暗くなってきました。
さすがに疲れ切った私は意を決して携帯で時間を確認し、
「もうそろそろ……」
ともう帰らせてくださいサインをオジサンに送りました。

「おっ、帰る?
 晩御飯は?
 車で送ろか?」


「いや、折角ですけど散歩の途中なんで。
 それに晩御飯は多分実家で用意されているはずなので」


私は申し訳ないオーラを体中から発し、そのまま立ち上がりました。

「自分背高いなぁ、何センチ?」

「多分182,3です」

「えぇーそうか、そりゃ高いわ。
 でもわしにとっては190cmオーバーやけどな」


「……」

これも意味が分からなかったので何となくスル―してしまいました。
私のトークスキルの無さが恨めしかったです。

その後私たちはオジサンの車(日産マーチ、オジサン曰く乗ると疲れるけどよく走る車らしい)まで一緒に歩き、別れの言葉を交わしました。

オジサンの最後の言葉はこうでした。

「わし顔覚えられへんから次会ったら2回目やって教えてな」

また会う気満々のようでした。
オジサンはこれまでも幾度となく顔見知りを初対面として扱い、相手からその都度指摘されているらしいです。
旅先で声をかけた人と何故か再び偶然の再開をするのがこのオジサンの特技とのこと。
例えば東京で道を尋ねるために声をかけた人と、数年後再び東京で道を尋ねた人が偶然その人だったり。
本当かどうかは知りませんが、このオジサンならアリかなと思いました。

そういえば私の京都での住所も詳しく聞いてきましたし、もしかしたら今度京都で会いそうな気がするのは私の気のせいでしょうか?





翌朝、私に変化が訪れました。

「顔、真っ黒に日焼けしてるじゃねえか!」

オジサンと堤防で3時間、潮風に当たりながら海面から光の乱反射を浴び続けていたその事実を痛感した朝でした。



……続く。 


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コメント
419: by shimasan on 2014/10/14 at 17:43:15 (コメント編集)

ふ、深い・・・
私も話してみたいと思う時が
あります。
今度若者を捕まえて、やってみます^^

420:Re: タイトルなし by オペラ on 2014/10/14 at 18:19:36

> shimasan さん
コメントあざっす。
やるときは暇そうな人を探してください。
特に海で暇そうな人は間違いなく話し相手になってくれるでしょう。

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