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『坂の上の雲 三』を読んで。

皆さん、どもども。

うつボッチオペラです。


『坂の上の雲 三』を読み終わりました。

もし御興味がおありであれば、以下過去記事も参照してください。

第二巻。
第一巻。



三巻はそのほぼ全てを日露戦争序盤までの描写に費やしています。

この当時の日本は、今では到底考えられない国家の姿を呈しています。


とにかく西洋列強を意識します。

それゆえ強い憧れを抱きます。

と同時に惨めになるくらい畏怖します。




日清戦争に勝利した日本ですが、列強のいわゆる三国干渉により差別的な処遇を受けます。

当然の権益であった満州を放棄させられるのです。


清国は張子の虎であることが露呈し、列強の蚕食が更に激しくなります。



極東アジアとは当時の列強にとって食料となるか家畜となるか、そのどちらかでしか有りませんでした。

とくに新興国の1つロシアは、まるで腹を満たす事の無い餓鬼のようにその領土拡大に努めていました。

次の狙いは満州、そして朝鮮です。



ロシアの南下政策に対し利害が一致した英国と日本は同盟を結ぶ事になります。

ロシアとの融和に失敗した日本にとっては棚からぼた餅、願っても無い同盟です。



後にロシアと国交断絶、戦争へと突入していきます。



日清戦争から後、日本は来るロシア戦を見据え、軍備拡張に全精力を注ぎます。

毎年、歳出のなんと約50%は軍事費でした。

今このような国があるでしょうか? 

とても考えられません。



当然国は貧乏になります。

しかし不思議なのが日本国民です。

クーデターや暴動を起こす事も無く、粛々と清貧生活に耐え忍んだのです。

つくづく不思議な民族です。



戦争の口火は日本が切りました。

日本を猿扱いしていたロシアにとってはまさに寝耳に水でした。

しかし、いざ開戦となっても依然としてロシアの態度は変わりません。


極貧、弱小、蛮族国家の日本なぞに負けるわけがない。



やがて、徹底的に恐露主義である日本と、差別的な侮日主義であったロシアとのモチベーションの差が緒戦において露見していきます。




この物語でしばしばこの頃の日本と、大東亜戦争当時の日本との姿を比較しています。

簡単に言うとこんな感じです。


日清日露当時:

 
 「きゃー、イギリスかっこいー、フランス、ドイツ憧れるー、ロシアこわーい」

 「目指せ脱劣等民族、追いつけ欧米列強」

 「客観的戦力分析、効果的兵力集中」




大東亜戦争当時:

 「日本人をなめんなよー、武士道最高、奇襲こそ名戦術」

 「我々こそ世界最高の崇高な精神を持つ民族」

 「神の名の下に成せば成る」

 「少数精鋭で太平洋を縦横無尽に駆け巡る」




割と客観的に自己評価できていた当時と異なり、大東亜戦争においては

”過大評価&不足分は気合で補う”

という、まさに調子に乗ってしまった勘違い国家でした。



日清日露で圧倒的不利と言われながらも勝利に繋げたのは、こういう国柄も大きく影響していたのでしょう。



これを現在の日本に置き換えて見るとどうでしょう。

敗戦後、日本はアメリカ主導の下に経済再建を成し遂げました。

この状況は何となく上述した日清日露当時の日本のスタンスに似ているような気がします。



そして近年、経済発展も行き着くところまで行き、名実ともに世界の列強(先進国)の仲間入りを果たした日本。

長期デフレを経験し、経済再生に向けて愛国論、武士道精神の見直し、周辺国との確執等が散見されるようになりました。



適度な内はむしろ国威発揚に寄与してプラスなのですが、行き過ぎると大東亜戦争当時の日本のようになる可能性も否定できません。

いつの時代も居丈高の勘違い野郎は嫌われるのです。



本著を読み思ったのは、人間の脆さと強さです。

環境や思想の影響を受けて割りと簡単に染まりますが、一旦完全に染まってしまうと中々拭い取れません。

染まっている事すら気付かなくなります。



オペラとしましては、可能な限り清く正しい愛国者でありたいものです。





……続く。


最後まで読んで頂き、感謝、感激です。

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